
そもそも、事務所引っ越しまでの期間限定でスタートした「BAR_ナンノオト?」の閉店日が決定した。2025年8月9日(土)、あと少しだ。100%理想の店が出来たかと問われれば、口ごもるが、楽しんだかと言われたら、200%楽しんだとニッコニッコで言える。
私(大森)はレコード係という呑気な役割で、いままでいい加減に買ってきたレコードやCD、カセットテープなんかと、これまたいい加減に買ってきたオーディオシステムを1箇所に集めて、訪れた人に聞いてもらっている。
JAZZ喫茶のマスターなら100年前からやってる何でもないことだが、やってみると実に楽しい。来た人の顔色(は見えないので気配)をうかがいながら曲を選んだり、時にはそんなことがバカバカしくなって自分勝手に音楽を探す。持ってるだけで聞いたことがない音源をたくさん見つけたり、重複して買っているレコードを発見してショックを受けたり、なんでこんなくだらないレコードばかり持ってんだと自分にがっかりしたり、どうしても見つからない1枚を探し続けたり、いろいろな事件があった。俺は音楽が好きなのかそうでもないのか、いつもわからなくなるが、このバーをやってみて、まあ、嫌いではないのかなと思った。
バーのガラスをよく見ると小さく「音楽がうるさいよ」というテキストがカッティングシートで貼られている。これは自嘲的ジョークかつ皆さんへの牽制球として貼ったものだ(来たら見つけてください)。実は、毎週水曜日にやってくる勝木(代表)のこども(3歳の女子)に言われた言葉だが、手加減しないお叱りが心に滲みたので使わせてもらった。
このバーは、トンカチが輸入しているスウェーデンワインがきかっけで出来た。3月にワイナリーの社長(まだ40代)が来日することになり、会ってみたら実にいいヤツで、そりゃあオーナーはヤツを社長にするだろうと思った。それが原因で、スウェーデンワインを飲ませる店をやりたくなった。ならば、ここに、前からいつかやりたかった音楽バーをのっけようぜとこの店が生まれた。一人のいいヤツがキッカケで何かがはじめる。それ以上のいい動機なんてないよね。この店ができなかったら、私のいい加減なレコードコレクションは、私に囲われたまま不遇の死を迎えたことだろう。
自分には他人を啓蒙したろうなんて野望も才覚もない。いつでも出来るのは場の提供だけだ。でも、この「場づくり」も、かなりいい加減で無責任ではある。しかし、まあ、もういい年なので、それを個性として許しておくれ。
3月に思い立って、5月半ばにオープンして8月9日にクローズ、3ヶ月に満たない週3日営業という幻すぎるバーであった。特に宣伝もしなかったが、縁があった人は来てくれた。残りの時間、あとちょっとですけど、縁あればぜひお会いしましょう。ご予約がおすすめですけど、フラッと来てくれても大丈夫(なはず)です。
大森
追伸
私は呑気なレコード係だが、昼の仕事から夜に移行したスタッフは慣れない仕事で大変だったと思う。過去形で言ってるけど、これを書いているのは7月11日なので、まだ一ヶ月くらいあるんだけどね。あなたたちがいなかったらこのバーはなかった。
皆さん、ありがとう。世界中の愛を込めて。(レスターの真似だよ)