スウェーデンワインという冒険の中心人物はヴィクターとフェリックス。

ヴィクターが社長としてワイナリーをビジネス面で支え、副社長のフェリクスは世界中のワイナリーで経験を積んだ後、2年前にクラベリス・ヴィンゴードに合流し、ワインの品質の全責任を負っている。ヴィクターは社交的で陽気なタイプだが、フェリックスはすべてをワインに賭けるアーチストタイプだ。面白いほど、全くタイプの違う2人にインタビューした。

 

自分を一言で表すとどんな人!?

ヴィクター:

ハハハ(笑)いきなり難しい質問だね。私はとてもソーシャルだよ。ワインと食べ物って、すごくソーシャルなもの。おいしいものを食べ、おいしいものを飲んで……。サーフィンや走ることも好きだよ。成功も失敗もあるけど、行動することが好きなんだ。

フェリックス:

「仕事中毒」かな。そしてアーチストでもある。いつでも、ワイン、ワイン、ワイン。ワインのことだけ。瞼を閉じても、そこにワインが見えるくらいにね。トランペットを吹いたり、絵を描いたり、歌ったりもするけど、私にとっての最大のアートはワインなんだ。

 

幼い頃はどんな子だった?

ヴィクター:

サッカーやホッケーが好きなごくごく普通の子供だったよ。結構シャイな方だったけど、裏では自分なりにいろいろ考えていたところもあったな。好奇心は旺盛。自分は何に興味があって何をしたいかははっきりしてた。ただ、全てをやることは難しいっていうジレンマも抱えていたよ。

フェリックス:

夜11時に寝て5時に起きるブルドーザーのような子だった。どう考えてもできっこないことも試してみたいところがあって、ある時は本当に壁をすり抜けてみようとしたことがあるよ。とにかく見えない境界をぶっ壊して新しいグラウンドを作ることが好きだったんだ。

 

ワインのほかに心を動かされたものってありますか?

ヴィクター:

たくさんあるよ。友達やスポーツコーチたちとか。あっ、でも1番は「旅」だね。これまで出会ったことのない自分とは全く違う人生を歩んできた人々と出会うチャンスをくれるから。

フェリックス:

僕は「禅」だな。人生について湧き上がってくる謎に美しい言葉で答えていると思う。毎日、瞑想は欠かさないけれど、オーソドックスに座った状態だったり、ときには立ったまま行うことも。瞑想はいいよ。「禅」のいうとおり雑念を取り除き、心が整うかんじがするんだ。ホントに素晴らしいよ。

ワイン造りは自然とのたたかいでもあると思うので、予測不可能な事態が起きないかと不安を抱えた仕事では!?どう不安に向き合っているのでしょう。

ヴィクター:

フェリックスはまさにこの時期不安でいっぱいのはず。数シーズン続けてきたが毎回予想とは違うからさ。結果的に予想以上の出来のいいワインがつくれているけど(笑)。

フェリックス:

ワイナリーで働く者は、みんなワインを飲んで不安を忘れるのさ。僕は瞑想と日記。不安が大きくなりすぎてしまったら、先輩たちに話を聞いてもらうことにしているよ。そうすることで、落ち着いて物事に淡々と打ち込めるんだ。

 

いいワインをつくるために必要なことを3つあげるとしたら!?

ヴィクター:

まずよく働く人たち、細部へのこだわり、仕組みと芸術的パフォーマンスのバランス。

フェリックス:

芳醇で成熟したブドウ、知識と衛生状態、ビジョンと心のコンパス。

 

あなたにとってのワインとは?

ヴィクター:

経験

フェリックス:

生きがい

(注)彼は日本語で「IKIGAI」と発音した。

 

スウェーデンでワインを作るということについてどう捉えていますか?

ヴィクター:

それはそれは素晴らしい旅だよ。

フェリックス:

スウェーデンはワインの生産国としては無名で、まだ弱いのは当たり前。けれど、ブドウは美しく育ち、最も寒い地域で作られているから、病気の心配がないという利点もある。ここのブドウたちは、まだ発見されていない真珠のようなものなんだ。

Kullabergs vingård