彼女の絵本のつくり方
ヴィクトリア・ソーンへ
愛をこめて
32ページの絵本をつくるには、お気に入りの本をもってきてページを数えましょう。何度もくりかえし数えること。本のページ数は8、できれば16で割り切れるようになっています。24ページの本にするのなら、8ページつけ足してそれを見返しにしてもいいでしょう(裏面は表紙と最初のページ、裏表紙と最後のページと貼りあわせます)。
前付けのページも計算に入れておくこと。ページはもっと増やしても減らしてもかまいませんが、本にエネルギーをもたせるには、それにふさわしいかたちにしなければなりません。
本のページを組む作業、テキストをページに割りつける作業は、このうえなく重要です。書くのは、あなたが知らないけれども知りたくてたまらないこと。作者が格闘し、負けて、すべての希望を失ったときになんらかの奇跡によって救われる、そんなテキストでなければ、読んでいても退屈です。
テキストができたら何度も口に出して読み、粗削りなところをならします。鏡の前で自分に向かって暗唱しましょう。
本はあなた自身とは切り離された存在でなければなりません。あなたは本の役に立つために力をつくしているのです。
本は世界に出ていかなければなりません。
ちゃんと伝わるようにしてあげてください。本のページを組むのは、むずかしい作業です。
テキストをページに割りつけるまで、絵をつけるのはやめておきましょう。絵がない状態でも、本はものを語らなくてはなりません。
あなたの本には、まさにこれというかたちがひとつあります。それを見つけるのがあなたの務めです。
登場人物たちはどんな見た目をしているのでしょう?あなたの目の前の紙が、登場人物たちの生きる世界です。登場人物はたがいに話をします。口にすることばは、その人たちが思っていることそのままです。登場人物たちの心が、そこにはこめられています。
子どもは子どもっぽいものが好きだなんて、どうしてそんなふうに思うのでしょう?子どもになる方法を子どもに教えるのはやめましょう。子どもはおとなになりたいのです。あなた自身をはるかにこえたところにある何かに手をのばして、それを子どもたちにさしだしてください。はっきりと気づかれることはないでしょうけれど、それは感じとってもらえます。
本を書き終えたら忘れましょう。~の著者、として知られようとは思わないことです。次の本はもっとむずかしくなりますし、それがつづきます。過去の成功をなぞっていたら、成長などできないのですから。