全ての日々がそうであるように、クリスマスだって、ある時は甘く、ときに苦い。サンタはいないし、クリスマスは単なる普通の一日だとわかっているけれど、私たちは今年もクリスマスを前にそわそわしている。トンカチの所属アーチストにそれぞれのクリスマスについて聞いてみました。

 

contents

1.ゴフスタインと私の、最後のクリスマス(ディビッド・アレンダー)

2. エレオノールのクリスマスコミック

3. クリスマスインタビュー

・リサのクリスマス

・マリアンヌのクリスマス

・エレオノールのクリスマス

・ポーリーのクリスマス

1.ゴフスタインと私の、最後のクリスマス

ゴフスタインは、すでに天国にいるので彼女にインタビューすることはできません。けれど、彼女がどんなクリスマスを過ごしていたのか知りたくて、ディビッド・アレンダーさん(ゴフスタインの旦那様)にゴフスタインとのクリスマスの思い出について書いてもらいました。



ブルック(ゴフスタインはマリリン・ブルック・ゴフスタインという名前)は天国や天使の存在を信じていて、物にはそれぞれ魂があると思っていました。最後に一緒に過ごしたクリスマスは、ディナーへ出かけ窓際の席に座りました。すると彼女はワクワクしたように、テーブルにそっと”何か”を置いたのです。それは天使の人形で、白く塗ったパスタで作られていました。体はショートパスタのリガトーニ、腕はマカロニで、小さな木製の丸い頭には目と口が黒で描かれていました。彼女がリサイクルショップで見つけてきたのです。

彼女は、まるでそれがラリックのクリスタル(ラリックはクリスタルガラスで最高峰のメゾン)で出来ているかのように慎重に扱っていました。誰も見向きもしないガラクタのようなものでも、彼女にとっては本当の宝物なのです。

「古いわね」と感心しながらその人形を見つめ、「これは「どれでも27セント」って書いてあるガラクタ箱の中で見つけたの。見て、髪に小さな星がついてるわ。」と言って、その人形がどんなに素晴らしいか私に教えてくれました。私は顔を近づけて、白く塗られた小さな星を見つめました。食事が来る前に、彼女は天使を、そっとポケットに仕舞いました。彼女が亡くなった今でも、天使の人形は残っています。

窓際の二人はいずれ去っていくけれど、目を輝かせて見つけてきた愛するものは、いつでも何処かの窓際の席に残っているのだ、と私は信じています。

今日の思いやり、そして明日の希望が、「クリスマス」ということだと思うのです。

 

2019年12月10日

ディビッド・アレンダー

Christmas story by David Allender Ⓒ2019.

 

 

2.エレオノールのクリスマスコミック

エレオノールの絵でコミックが見てみたくて「コミックを描いてくれない?」と本人にお願いしたら、彼女はそれまで描いたことがなかったけど、後日「本格的にコミックを描き始めたよう!」と、連絡が。このアクションの速さが彼女との仕事の面白だし、何より私たちにパワーを与えてくれます。今回のテーマはもちろんクリスマスです!

 

3.クリスマスインタビュー

リサのクリスマス

 

TK

クリスマスと聞くとどんなことを思い出しますか?

 

リサ

私の人生を振り返ってみると、クリスマスって、とてもストレスだったわ。いつもクリスマスが終わるとどっと疲れているもの。

 

TK
楽しかったクリスマス、悲しかった(楽しくなかった)クリスマスについて、それぞれ教えてください。

 

リサ
私が子供のころ、日中はずっとクリスマスプレゼント作りをしての(リサはお金がないこともあってプレゼントは手作りしていた)。夜が近づくにつれて、だんだん時間に追われてきて、ただただストレスだったわ。大人になってからは、私とグンナル(夫)はクリスマスのお祝いはストレスだからやらない

ことにしたの。でも私に子供ができてからは逆。クリスマスがとても大事な行事になったわ。家族みんなで紙を色々な形に切って、窓いっぱいに貼ってぶら下げたり、いろんな色と形でとてもきれいだったのよ!あの頃はありとあらゆるクリスマスの飾り付けを家中にしたわね。

グスタブスベリの素敵な家に引っ越してからは、友達やご近所さんを30人くらい呼んで、みんなで一緒に踊ったわ。その時に来た子供たちのために手作りのクリスマスカードと綺麗にラッピングされたキャラメルを準備して配ったのよ。大人たちはグロッグ(クリスマスに飲むホットワイン)を飲んで踊って……。パーティーからみんな帰った後の家の中はとにかく凄く散らかっててキャラメルの紙やら何やらが床に沢山落ちてて、片付けるのが大変で、とにかくあの時は疲れたわぁ~(笑)。そしたら逆に子供達が私に気を使ってか「来年は家族だけで過ごそうよ-!」と言ってくれて、あの時はなんて親思いのいい子達なのかしらと思ったわ。このパーティーは4、5年続いたわね。

 

TK
人にモノをプレゼントすることについて、どう思いますか?

 

リサ
いつも大変だと思ってるわ。何が大変って、私自身が何を渡せばいいかわからなの。プレゼントに関してファンタジーがないのよ。もちろん物をあげるのは好きなんだけど、お金を渡して欲しいものを自分たちで買うという選択もあっていいと思うわ。

 

TK
あなたが一番印象に残っているプレゼントについて教えてください。

 

リサ
それについては何度か考えた事があるんだけど、やっぱり子供たちからもらったスパホテル「やすらぎ」の宿泊だ思うわ。本当に素敵な所だったわ!(笑)(※インタビュアーはこの「やすらぎ」のスタッフでもある)

 

2019年11月、リサ・ラーソンのアトリエにてインタビューした。

 

マリアンヌのクリスマス

 

TK
クリスマスについて話してください。

 

マリアンヌ
そうね、クリスマスについて忘れてきちゃっているわね(笑)。

クリスマスは12月の終わりだから、私にとっては1年の区切りだわ。一区切りつけて自分の生き方に向き合うタイミング。もし、クリスマスが無かったら1年の区切りがないことになるわね。

スウェーデンは季節の変化があるからいいけれど、もし季節がない国にいても、変わりにクリスマスがあれば1年の区切りはできるわね。クリスマスのようなホリデーシーズンがあると、もう1年が経ったって認識できるじゃない。そうしないと変化の無い日々を過ごして、1年位かなと思っても、とっくに5年くらい過ぎてしまっているかもしれないわ。伝統的なクリスマスの過ごし方をしている家庭もあるけど、人によっては、クリスマスには自分から出向いて行くべきか、それとも自宅に招待すべきか、色々と気を遣っている人もいるのよ。お酒を飲んで楽しむ人もいるし、嬉しい事と気疲れする事と、両方ある感じね。私の家族にとっては一番忙しい時期よ。家族は花屋をしているし、陶器も良く売れる時期だから、商売のかき入れ時ね。家庭によって過ごし方は様々だと思うけれど、特にクリスチャンにとっては教会に行ったり、とても大切な日よね、キリストが生まれた日だからお祝いしないとね。(そういう彼女はクリスチャンではないらしい)

 

TK
印象に残っているクリスマスはありますか?

 

マリアンヌ
今は思いつかないわ。ちゃんと思い出さないとね。子どもだったらプレゼントもらえるのが楽しみよね。子どもたちのホリデーって感じね。

 

TK
スウェーデンでは何歳までプレゼントをもらえるんですか?

 

マリアンヌ
だいたい高校生くらいまでね。日本にクリスチャンはいるの?

 

TK
キリスト教の教会もあるし、江戸時代の頃からいますよ。

 

マリアンヌ
日本はあまりオープンじゃないからもっとオープンにしたらいいと思うわ。日本の少子高齢化が問題になってるわよね。移民を受け入れたほうがいいんじゃないかしら。

 

TK
クリスマスの想い出を思い出したらメールでいいので教えて下さい。

 

マリアンヌ
そうね。思い出すかしら……。

 

2019年11月、マリアンヌ・ハルバーグにスカイプでインタビューした。

 

エレオノールのクリスマス

 

TK
クリスマスはどんな風に過ごしていますか?

 

エレオノール
クリスマスはいつもストックホルムに住んでいる妹の家で過ごしているの。大人数で集まって、ずらりとお料理を用意して。そして毎回反省する事なんだけど、いつも作りすぎてしまって、クリスマスの後何日も同じ料理を食べ続ける事になっちゃうの。

 

TK
悲しいクリスマスはありましたか?

 

エレオノール
家族として可愛がっていた犬のテスがいない最初のクリスマスね。それまで私と妹は、クリスマスディナーの後はいつも、テスと一緒に散歩をしてたの。テスは私たち家族にとって、とてもとても大切な存在だったから、あれからずっと、ぽっかりと心に穴が空いてしまったままなの。たぶんそれが、私が犬の陶器を作る理由なの。

 

TK
もっとも思い出深いクリスマスは?

 

エレオノール
クリスマスに食べる伝統的なスウェーデン料理に、豚足のゼリー寄せというのがあるの。あるクリスマスの夕食前に、キッチンの床のクーラーボックスにこのお料理を入れて置いたの。するとキッチンから奇妙な音が聞こえて見に行ってみると、テスがゼリーまみれの床で豚足と滑って遊んでいるの。どういうわけかテスは箱を開けてしまったのね。そして中身をほとんどを食べて、残った豚骨でアイスホッケーをしているみたいだったの!私はその光景を決して忘れないわ!

 

TK
クリスマスに何か特別なことがありますか?

 

エレオノール
一つだけあるのは、毎年クリスマスの時期は何かの病気になるの。インフルエンザの時や普通

の風邪の時もあるわ。あまりにいつもの事だから気にせず、ソファでのんびりしているの。

 

2019年11月、エレオノール・ボストロムに電子メールで聞いた。

 

ポーリーのクリスマス

 

TK
どんなクリスマスを過ごしてきましたか?

 

ポーリー
それは、それは、楽しい賑やかなクリスマスよ!朝起きたら準備をして、お気に入りの服でオメカシしてママの家にいくの。クリスマスには人が大勢集まるから、ママは食事の用意で大変なの。皆でプレゼントを交換したらお待ちかねのクリスマスディナー。その後は、もらったプレゼントを見たり、音楽やゲーム、映画でゆっくり過ごすの。クリスマスはいつもとっても寒いのよ!

クリスマスの飾りつけは私にとって最も重要なの。特別なヴィンテージの飾りも持ってるわ。ツリーは庭の鉢に植えてあって、年々少しづつ成長しているの。母は玄関に掛けるリースを毎年作っているわね。

 

TK
大人になってクリスマスは変わりましたか?

 

ポーリー
子供の頃はとにかく時間がたくさんあったから、のんびり遊んでいたけど、今はいつも仕事で忙しいから、クリスマス休暇はずいぶん短くなったわね。

 

TK
楽しかったクリスマス、悲しかったクリスマスについて教えてください。

 

ポーリー
私の家族がオーストラリアから会いに来てくれた年のクリスマスは楽しかったわ。大人数でテーブルを囲んでとても賑やかで、絵に描いたような幸せなクリスマスだった。悲しかったのは、祖父母が病気になってしまった年のクリスマス。とても静かな寂しいクリスマスだったわ。

 

TK
クリスマスと聞いて何を思いますか?

 

ポーリー
クリスマスマーケット!私が住んでいる街では、12月のはじめからクリスマスマーケットが始まるの。これは私の一番のお気に入りのイベントで、お祝いの季節がスタートしたぞ!っていう号令なの。あとはボクシングデーね(クリスマスの翌日をボクシングデーと呼ぶのはイギリス発祥)。クリスマスの残り物を食べたり、散歩したり、ダラダラのんびり過ごすこの日も大好きだわ。

 

2019年11月、ポーリー・ファーンに電子メールで聞いた。

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