九番、益子、あわせじま
「にっぽんのリサ猫」プロジェクトは、益子焼から始まった。
もし、益子で最初の一匹を作ってくれなかったら、この物語はなかっただろう。
その後、益子の猫は順調に繁殖し、今回の「あわせじま」で五匹目となる。
窯元の「つかもと」さんは、創業160年を超える益子最大の窯元だ。
民藝運動を代表する陶芸界のレジェンド・濱田庄司氏とも縁が深く、リサ・ラーソンが愛した益子焼の魅力を体現する工房だ。現在では、手作りと機械生産を融合した製法で、伝統的な益子焼から大規模なOEMまで幅広い製品を作り出している。

リサと益子の恋愛関係
最初のリサ猫(一番、益子)を作るとき、リサのPOPな造形と、益子のぽってりとした釉薬は本当に合うのだろうか。そんな懸念があったという。
しかし出来上がってみると絶妙だった。
北欧でもあり日本でもある。
新しいようでも古いようでもある。
そのどれでもないような、微妙な境界の上をスタスタ歩く猫。
回を重ねるごとに、「リサと益子はやっぱり合う」という確信が、窯元と我々、双方の中で強くなっていった。リサがずっと益子焼を愛していたのは、その相思相愛に直感的に気づいていたからかもしれない。
この五匹目に至っては、益子の地にすっかり根付いた、ずっと前からいる野良猫みたいだと、窯元のKさんは言う。
ずっと前からいた猫
今回の「あわせじま」は、実はプロジェクトの一番最初からあったデザインだ。
しかし当時は、様々な理由で形にならず、ずっと出番を待っていた。
だからこれは、ピカピカの新作というより、最初から作りたかった猫が、やっと帰ってきた!という感覚に近い。
技術的な課題は、一気に解決したわけではない。
続けていくなかで、ゆっくりと、そして突然に、ご褒美のように解けていった。
つまり、やっと「九番、益子、あわせじま」の時が来たのだ。

益子で作るということ
粘土は信楽粘土。釉薬は益子の伝統的な四つ、並白、青磁、飴、本黒。
同じ釉薬でも、模様によってかけ方は常に変わる。狙った色をきれいに出すことが、いつでも一番難しい。
リサを益子で作るということは、リサと益子の縁を引き継ぐということでもある。
だから作業にどれだけ慣れても、現場から緊張感は消えない。
どの猫も簡単ではない。だから、クオリティを維持し続けることこそが、これからもずっと続く課題だ。
自然を取り込んだものづくりには、終わりがないのだと気づく。

あわせじまという猫
模様担当者は、一番最初の猫がお気に入り。顔担当者は、「くろゆう」と「あめゆう」に愛着があるという。
そして全員が口を揃えて言う。
今回の「あわせじま」は、歴代の猫たちと比べても、縞模様はスタイリッシュで、カッコよく、ハンサムに仕上がった。
シリーズの中で、もっともカラフル。それでいて、落ち着いた和の印象もある。
益子の伝統と、今をつなぐ猫ができた。

猫の美学
Kさんは言う。
「これまでの猫たちと並べて、それぞれの違いをよく見て、じっくり楽しんでください。」
他の産地でもリサ猫が作られるようになって、それぞれの特徴を見比べる機会ができた。それは窯元にとっても、うれしい楽しみであると言う。
他の産地を知ることは、刺激になりつつも、自分たちのよさ=自分たちのコアを再確認することにつながる。
同じ形をベースにしながら、全く違う猫が生まれる。
それは陶芸そのものの面白さである。
そして、生きとし生けるものの美学である。
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"Lisa's Cats On the Road"
「にっぽんのリサ猫」の旅は、これからも続きます。乞うご期待!
にっぽんのリサ猫・益子焼編~制作の舞台裏