リサが最初に作った⼲⽀は2014年に発売した「ダーラナの⾺」です。当初はシリーズ化する予定はありませんでしたが、⼤きな反響を得て、やがて⼗⼆⽀全てを制覇する「リサ・ラーソンの⼲⽀シリーズ」に発展していきます。2025年の⺒(へび)で⼗⼆⽀全てが揃いました。
12⽀を発売順にご紹介します。
リサの⼲⽀の歴史を制作サイドのコメントとともに振り返ります。
一番手 ダーラナの馬
ダーラナの馬はスウェーデンの伝統的な木彫りの民芸品で、スウェーデンではよく見かけた。ある時、その年の干支(えと)が馬だと気づいて、じゃあ、このお馬さんに日本の干支になってもらおうかしら、と思ったのがきっかけで干支の第一号は生まれた。この時はこれが干支シリーズとして12年間も続いていくとは誰も思わなかった。12年の運命を呼び込んだ馬に乗って私達はリサとパッパカ走った。
二番手 ひつじのフアレン
前年に「ダーラナの馬」を出したので、来年の干支はもっとPOPな(?)未(ひつじ)なんだから絶対につくりたいと思ってリサにお願いした。フアレンはスウェーデン語で羊の意味。商品名の「ひつじのフアレン」は「ひつじのひつじ」ってことで意味はないけどかわいいからいい。リサは出来上がったボディにササッと模様を描いた。一瞬で、作品に品のある可愛さが加わる魔法。びっくりした。
三番手 おもうさる
未(ひつじ)づくりの魔法を見てから干支づくりがドンドン楽しくなった。この「おもうさる」から、毎年干支を出していこう!としっかり決心した。リサは過去に見ザル、聞かザル、言わザルを作っていたので、それをベースにしながら、そこから遠く離れた申(さる)を作りたかった。つまり「想う」=空想家、あるいは「思う」=哲学者みたいに、ボンヤリとフムフムの両方の顔があって、しかも常にユーモアを忘れない、そんな申(さる)をイメージした。
四番手 こいのとり
前年の「おもうさる」から、言葉(商品名やコンセプト)と作品がコラボしはじめた。「こいのとり」は子宝を運んでくるコウノトリのイメージに「春よ来い」と「恋よ来い」を重ねて、「恋」と「来い」で「こいのとり」とした。とにかくワクワクする幸福をたくさん運んできてくれる欲張りな酉(とり)なのだ。リサは鳥の作品を多く作っていて、本人が気に入っている物も多い。この作品もそんなひとつになった。
五番手 とりをみるいぬ
この戌(いぬ)は少し上空を見ている。そしてなんだか楽しそうだ。前年度が「こいのとり」だったので、この子はそれを見てるんじゃないか。前の年の干支だって引き継ぎくらいするだろうからそれを見送ってるのかなと空想して、鳥を見る犬=「とりをみるいぬ」と名付けた。このあたりから干支の気持ちがぐっと自分たちの中に入ってきて、干支をトリガーにして新しい物語を語るプロジェクトのようになってきた。
六番手 ししとうり
大きな亥(いのしし)に子供の瓜坊(うりぼう)をくっつけて親子にした。1つに2つでお得だ!私達はついつい近くの愛に気づかず、遠くの夢ばかり求めてしまうよね。空気みたいな、見返りを求めない本当の愛!いつも最初から、すでにそこにあった大きな愛よ!いつも、いつでも、ありがとう!この年は、勇ましさばかりが強調されるイノシシの違う面にスポットをあてたくてハートフルな親子を作った。
七番手 せっせとねずみ
子(ねずみ)は働き者だと言われるので、働くことについて考えた。働くというのは本気で動くということで、会社とかだけでなく学校も家庭も遊びも入っている。こつこつ、せっせと、といった地味なことは派手なことの陰に隠れてしまう時代だけれど、せっせと働くことの先では、全ての十二支が面白そうに顔をのぞかせる場面に出くわしたりする。ああ、そこにまた行きたいね~、ネズミさん、というお話。
八番手 くさぶえのうし
何かをくわえているような丑(うし)だったので「くさぶえのうし」と名付けた。高原に草笛を吹く伝説の少年少女がいて、彼らの音色に牛や蝶や鳥や子どもたちが集まってくる。私たちはそれを夢のような気持ちで見ている。そんなイメージで作った。リサは干支とは日本のポエムであると考えていたのだと思う。だから、年を重ねるごとにリサの干支は幾重もの物語を纏うようになった。
九番手 そとをみるとら
世界がコロナで引きこもっていた時代に、外を見る寅(そとをみるとら)が生まれた。虎の勇敢さは、世界と自分自身を冷静に見ることができて、何事にも動じない気持ちの落ち着きがあるからだ。そして今こそ私達もそうありたいと願った。このときにもう一種「うちをみるとら」も出した。こちらは目を閉じて内面を見ていた。この年の寅は、完全にメッセージ・ソングみたいで、私達のゴスペルだった。
十番手 ひかりのうさぎ
前年度の寅は内省的な強さを打ち出したので、卯(うさぎ)は底抜けな明るい希望に向かいたかった。この気分には、この頃、オフィスに赤ちゃんが来るようになったことも大きく影響している。だからというわけではないが、小さな赤ちゃん兎も作った。リサがボディに描いた模様は兎が草原の中にいるように見えるもので、見た瞬間に眼の前に花とりどりの草原が広がる。リサはほんの少しのアレンジで見えないイメージを作り出す。
十一番手 青い空のドラゴン
辰(たつ)は十二支の中で唯一の架空の生き物ドラゴンなので、100万ボルトの幸せを運ぶというドラゴンらしい使命を与えた。実はこの頃にはリサの健康状態はあまりよくなかったので、それを吹き飛ばしたかったし、ドラゴンになんとかしてほしかった。この年のノリが勇ましいのはそういったことが影響している。リサは神話が好きだったので、過去にドラゴンをいくつか作っているがどれも隠れた人気作品になっている。
十二番手 ここからつづくへび
リサ・ラーソンの干支、12年目のアンカーは巳(へび)!
リサの健康状態がよくなかったので、12年目の最後の干支が出来るのかは誰にもわからなかった。私達はできるなら、あと1つになった十二支を完成させたかったが、無理かもしれないと思い始めていた。けれどリサは約束通り巳(へび)の原型を送ってくれた。これが私達と彼女との、現世での最後の共同制作になった。これからはあっちとこっちで新しいものを永遠に創り出して行きたい。終わりは始まりで、始まりは終わりなのだというメッセージを、こんな可愛い生まれたばかりの赤ちゃんみたいな顔の蛇で伝えてくれる、リサ・ラーソンというアーチストは特別だった。その意味で、私にとってもあなたにとっても、この蛇は永遠と続く「ここからはじまる」の蛇なのだ。
→「リサ・ラーソンの干支全集」
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