『私と私の船長さん』は、伝説的な絵本作家、M. B. ゴフスタインが1974年に出版した『Me and My Captain』(原題)の待望の新訳・新装版です。
舞台は窓枠の棚の上、登場人物は全て木の人形という設定で、イマジネーションとユーモアをふんだんに散りばめて、哲学的テーマが、優しく、深く、心に染み込んで来ます。
そしてシンプルを極めたパーフェクトな絵。私たちの本当のしあわせとは何かを問い続けた作者が到達した、究極のラブストーリーです。
ゴフスタインの本を作る時は、オリジナルのまんまではなく、今の自分たちのトーンが加わるようにデザインをしています。今回も試行錯誤、紆余曲折しましたが、オリジナルの絵のサイズがいちばんしっくりきたので、それを活かしました。
全体の判型は「海のむこうで」と同じで大きくしましたが、イラストのサイズはオリジナルとほぼ同じです。
表紙のクロス部分は太陽をイメージした黄色。紙の部分はオリジナルを踏襲したデザイン。中を開くと、シルバーの紙がキラキラと揺れる水面のように広がります。太陽と海、そして光を散りばめた装丁です。
表紙は表の端から裏にかけては布張り、表紙は紙を貼る「継ぎ表紙」という手法を使っています。これはシリーズ中、初めての試みですが、布の手触りとクリアーなイラストが共存できて気に入っています。
今回の翻訳も難しく、途中で何度もわからなくなりましたが、ここにきてやっと、トンカチ流のリズムと言葉が少しはつかめたように思えます。一番のお気に入りの箇所は、会ったばかりの船長さんが私にプロポーズするところ。「そして私に、結婚しようよ、と言うでしょう」のところです。ここで、「私たちが思う」船長さんのキャラクターを作ることが出来ました。船長さんは思い立ったら、全部すっ飛ばして、まっすぐにプロポーズするような人だったはず。それは重い言葉じゃなくて、軽やかに歌うように口にしたはず。今回の翻訳作業は、この部分が山場でした。翻訳って、キャラクター作りなのかもしれません。
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