リサ・ラーソンの干支全集(もっと)で初お披露目となるリサ・ラーソンの福徳煎餅(ふくとくせんべい)。 その中に入る土人形を作ってくれたのは、富山県の「とやま土人形伝承会」さん。
こんなにかわいい土人形は一体どんな場所で生まれているの〜〜?ということで、伝承会9期生のMさんにお話をうかがいました。聞き手はトンカチの茂木が務めました。
茂木
サンプルが届いた時に、私たちが想像もしてなかったぐらい楽しくて!これはぜひお話を聞かなきゃ!と思いました。
Mさん
そうなんですか!ありがとうございます。今回初めて、外部の作家さんの商品に挑戦したので、私たちも少し戸惑いはあったんですが、マイキーが既に狛犬になってる(猫張り子 マイキー)を見て、それでイメージができました。
茂木
たくさん作品をお送りしてたくさんサンプルを作っていただきました。本当に全部可愛くて。今回はやっと3つに絞りましたけど、どれも商品化したいです!
Mさん
そうなんですよね。船とかもすっごく可愛くて。最初はどうかなと思ったんですけど、サンプルが出来てみたら、あの可愛らしい形が出てて。でもちょっと細かすぎて量産をするのは難しそうで、同じタイミングでの販売がなくなって少しホッとしたみたいなところもあります。笑
茂木
リサの土人形を作る過程で一番むずかしかったところはどこですか。
Mさん
量産するための型作りです。表面と裏面に分かれる「割り型」というものを作るんですが、今回は短時間で対応する必要があったので少し苦戦しました。
茂木
土人形は全国各地で制作されていますが、とやま土人形さんの特色はどういうところでしょうか。
Mさん
私たちは「土人形伝承会」という土人形の文化を継承していくことを目的にした会なんですが、会員は現在24名で、全員が女性です。私たちの仕事は分業制ではなく、小さいものから大きいものまでサイズに関わらず、「型込め※1」から「どべ※2」「絵付け」まで全工程を一人で完結させるというのが特徴です。1人の人間が最初から最後まで作っているので、同じ見本をみながら作っても、微妙に仕上がりに個性が出てきます。一つとして同じものがありません。顔も印刷ではないので、「こんなふうに描いたら」という作り手の気持ちが必ず入ります。
※1 型込め:型を作る型を作ったあとに表と裏の「割り型」に粘土を込める作業のこと
※2 どべ:表裏を「どべ」(粘土を水で溶かしたもの)を使って接着し形を整えること
割り型を合わせ、形を整える工程
茂木
それでこの楽しい土人形になるんですね。作業の中で一番楽しい瞬間はどこでしょうか。
Mさん
これは個人個人によりますね。粘土が得意な人もいるし、絵付けが好きな人もいます。やっぱり、いざ絵付けをするときに形が良くなかったらうまく描けなかったりするので、1人で全ての作業が完結することで、粘土のここを調整しようとか、すぐに反映できるのがいいところです。絵付けをして初めて、粘土で気をつける部分を見つけたりするので、どちらもやることで上手くなっていくんですよね。
茂木
どんな方が働いていらっしゃるんでしょうか。
Mさん
全員が女性で、一番若い人が40代で、一番年上は70代です。一期生から十二期生まで、今みんな揃ってる状態です。もともと芸術関係が好きな人もいますが、ものづくりが好きとか、県外からきた人もいますね。私ももともとは県外なのですが、富山に来てここで土人形作りに出会って興味を持ったんです。そういう者も何人かおります。私はこの会のこととかは全然知らなかったんですけど、ここで絵付け体験をしたことがあって。その後、市の広報で会員を募集していることをたまたま知って、ちょうどそのタイミングで入会することになったんです。それが20年前になりますね。私は9期生なのでまだまだ中堅なんですよ。笑
なので一期生からの先輩方に教えてもらいながら作っています。今もずっと修行状態ですね。やってみると、土人形の世界は奥が深くて。それこそこの前のあのお船かなんかでも、私が形づくりに苦戦していたら、一期の先輩がちょっと貸してって言って、キュキュってやったら、あんなにかわいい形になったんですよ。まだまだいっぱい学ぶものがありますね。
茂木
仕事の進め方の秘訣がありますか?
Mさん
私たち毎日毎日この工房にいるわけじゃなくて、ここでも作業ができて、家に持って帰ってもできるんです。工房の当番以外の人は、工房には来てもいいし来なくてもいいというルールにしていて。いつでも出入りできる自由なスタイルになっています。なので、主婦の方がほとんどですし、お子様がいる方も、孫がいる方もいます。いろんな人がいるので工房では、そういう方のお話も聞くこともできるのが楽しいですね。
茂木
お家でも作業ができるのはいいですね。
Mさん
工房で粘土の作業をして、家で絵付けをするとか、その人のペースによって、好きなようにやっています。もちろんノルマはあるんですけどね。笑
茂木
これまで作られた作品の中で、思い出深いものはありますか?
Mさん
特に思い出深いのは、2018年の戌年の年賀切手に「古代犬」を使っていただいたことがあるんです。その年はありがたいことに、全国各地からご注文をいただいて、それらの発送だったり対応に追われていたので、なんだかとても思い出に残ってますね。もちろん嬉しいんですけれども、結構ハードだったので、みんなの記憶に残っていると思います。
茂木
今後作ってみたいものとかはあったりしますか?
Mさん
土人形でどんなことができるかなっていうのを、いろいろ先輩と模索していたりします。
マグネットを作ってみたり、水引き飾りだったり、風鈴も作れるかなとか思って作ってみたり。どんなことまでできるのかな?と挑戦しています。
▼この土人形が入っている、干支全集は下記からご購入いただけます。
リサ・ラーソンの干支全集(もっと)