1968年に本国アメリカで発表された、M. B. ゴフスタイン『海のむこうで(原題:ACROSS THE SEA)』は、『ブルッキーと彼女の子羊(原題:Brookie and Her Lamb)』と『人形づくりのゴールディー(原題:Goldie the Dollmaker)』の間に刊行された、ゴフスタインの4番目の作品集です。代表作2つの間に挟まれて見過ごされがちな作品ですが、近年では、その静かで味わい深いトーンによって、初期の傑作の一つとして再評価されています。長らく日本では未刊行のままで幻の作品とされていましたが、50年の時を経て待望の日本語版が女優・石田ゆり子の翻訳で誕生しました。

5つの物語

この物語は、5つの物語で構成されています。

最初から石田ゆり子さんに翻訳をお願いしたかった。ゴフスタインと石田さんの名前が本棚に並ぶ光景を想像しただけで、もう全部が出来上がったような気持ちになって、そこに向かうしかありませんでした。石田さんは、期待通りに、ピュアでまっすぐな、まるでゴフスタインの線のような文章を描いてくれました。
(トンカチ代表K)

モノクロのイメージが強いゴフスタインですが、オリジナル英語版は赤・青・黒の3色で印刷されています。このカラーバージョンはボックスセットのオリジナル・リマスター版で再現することとし、日本語版ではカラーリングをイチから考え直しました。最初はモノクロで構成したのですが、その後カラーに変更。何回もカラーリングを変更して、最後の最後にこの色に落ち着きました。こだわりは海の色が場面によって微妙に違うこと。そして正体不明の女の子(表紙と最後に出てくる女の子を私たちはそう呼んでいます)のサボの色。ソフィーの左右の色が違うサボ(なぜ?)。そして海を流れる赤いサボです。サボをめぐるもう1つの物語が背後に感じられるように「いたずら」を仕掛けました。装丁は最初から絶対に「布」と決めていて、色はやっとここに落ち着きました。

海のむこうで(日本語版)に加えて、原書ACROSS THE SEA(英語版)の復刻版が入っている特別なBOXSETです。

【BOXセットの内容】
・「海のむこうで」(日本語版)
・「ACROSS THE SEA」オリジナル復刻版(英語)
・「ミラクルな手紙」(ゴフスタインのお母さんの手紙のレプリカ)



よみもの

「海のむこうで」のこっち側

海のむこうを、思い出す。

M.b.goffsteinTonkachi books